僕僕先生、読了♪

僕僕先生

僕僕先生

遅くなってしまいましたが、ようやく読了しました。
というわけで、感想です。




私は三国志さえ通しで読んだ事がないほど、中国史について興味のない人間で、中国が舞台の物語としては封神演義藤崎竜)くらいしかまともに知らなかったわけですが……まぁ、雰囲気的には十二国記っぽくて、読めないほどではなかったです。そりゃ、まともに読めない漢字やら、文字からその立場や環境を理解できない部分はありましたけどね。それでも、だいたい想像できる程度にはこちらに歩み寄ってくれる柔らかい文体だったので、その点は良かったです。
物語自体は安直と言ってしまえばそれまでのものではあったのですが、見せ方やキャラが面白いので、苦にはならなかったです。ってか、僕僕先生はともかくとして、それをとりまく仙人たちが凄く個性的で、実際にそういう人たちが居たかのように活き活きとしていて、新しいキャラが出てくる度に面白くて仕方が無かったですね。
ただ、古い中国の文化に関しては私は全くノーコメントでやり過ごしたいわけですが、その代わりに、主人公についてはちょっと思う事があったり。
……ニートってこんな生温いもんかなぁ?
もちろん本文中で主人公がニートであるなどとは一切書かれていないのですが、本の紹介としては書かれていますし、問題ないでしょう。最初に疑問に思ったのは、主人公である王弁が父親から言われてあっさりと山を登った時。快諾というわけではないのですが、あんまりにも簡単すぎるなぁと。
その後も、僕僕と一緒に旅に出て、様々な場面に出会うわけなのですが、その態度がニートらしくないというか、無気力人間らしくないというか、いっそ人間らしくないというか。実にご都合主義的な『主人公』っぽくて、最終的に医術(薬術?)を学んで、所謂現代的な意味での仙人となるわけですが、最初は駄目だった奴がそこへ至るまでの道のりとしては不十分だったのではないかと。登場人物たちの中で、唯一活きていないように感じました。


とまあ、そんな不満点はあったものの、全体的には面白かったです。
ってか、この読み易さは凄いよなぁ。私と同じように古代中国の物語に全く興味が無く、今まで読書経験のない人の、入門書的な存在としては最適かもしれません。
というわけで、コンペ仕様で点数をつけるなら、8点。
普通に上手い。良く出来てる。ただピンポイントからは少し外れてる、という意味で。


ってか、これってコンペではどういう作品になってたんだろう???
当たり前の話ですが、滅茶苦茶加筆されているわけで……オチが違ったりするのかしらん?