あれこれ語りすぎるから胡散臭くなるんです

これはアニメ「CHAOS HEAD」7話の感想です。
いや、感想だったものです(苦笑
なんか書いているうちにだんだん本編から外れちゃったので、別に書くことにしました。
簡単な内容としては「フィクションのリアリティについて」です。
フィクションを書いている人にとっては割りと重要かもしれません。
なんだかんだで、陥りやすい穴ではありますからね。





フィクションにおけるリアリティは背景の説明を行うか、あるいは状況によって証明するかの二択です。
ドラゴンが火を吹く事に説明は必要ありません。ドラゴンという記号の中にその要素が含まれているのですから、『火をはいた』という状況(事実)によって『そのドラゴンは火をはく事が出来る』という説得力が与えられます。もちろんこれは『ドラゴン』という記号の圧倒的な強度があるからこそなのですが、ではドラゴンがどのようにして火をはいているのかを説明し出すと途端に胡散臭くなります。
化学反応で高温になるガスを発する虫はいますが、火をはく生物はいません。また、居たとしてそれは何故? 往々にして外敵から身を守るためと思われますが、だとしたらドラゴンにはどのような外敵が? 況や、そもそも何故そのような生物が誕生したの? このように生態系からしていちいち作らなければ、ドラゴンが火をはく事に説得力を持たせられなくなります。小説でならあるいはそれも可能でしょうが、アニメでは難しい事です。
とある魔術の禁書目録」にも実に胡散臭い科学が登場しますが、『魔術』やら『超能力』やらの非現実の内側に取り込んでいるので、「説得力を必要としない」ものになっています。ってか、この辺りはラノベの強みかなぁとも思ったり。要は『ライトノベル』という記号が、ある種の「無茶苦茶さ」を許容している(その要素を含んでいる)わけですから。主人公がモテモテである事に必ずしも説得力が必要ないエロゲと同じです(笑
しかし「CHAOS HEAD」の場合、背景の説明が足りません。不特定多数の人間に妄想を見せる不思議な装置、そしてディソード。
「このディソードこそあらゆるリアルブートのためのショートカット的役割を果たす」
こんな説明台詞いらねぇよ。
「ディソードとディラックの海とのチャンネルを大きくする事で、ディラック方程式の空孔理論によって(以下略)」
こんな説明も超いらね。
それを説明するんなら、まずお前らが何でそんな剣を生み出せるのかを説明しましょうよ。そこをまず先に説明しないと胡散臭いだけですよ。妄想科学として実にムダに説明しているようにしか思えません。
良いんですよ、謎の科学装置によって人々を洗脳しようとしている敵に対して、そのオリジナルとなった不思議な力で立ち向かう。これで十分じゃないですか。それでアニメ的には何一つ問題はありませんし、少なくともその方がフィクションとしてリアリティがあります。


まぁ、結論としては「フィクションを不用意に説明しようとするな」という事です。
ネコ耳キャラの、本来人間の耳がある位置がどうなっているのかなんて誰にとっても無意味なのと同じで、それがリアルであると相手に認識させれば十分です。ガンダムのように、あるいはエヴァのように誰もがそれを当然のように認識しているかのように装えば、具体的な説明なんてなくてもおk。そこにあるものについて、皆がそれを当然とするのなら問題ないのです。はっきり言ってしまえば、(読者or視聴者を)説得する必要がないんです。必死になって中途半端な説明をするよりは、キャラを駆使して押し通しちゃいましょう。無理を通して道理を砕く……スーパーロボットや特撮系こそ、フィクションにおけるリアリティの真髄と言えるのかもしれません。


しかし、これって「CHAOS HEAD」の内容そのものに近いじゃないのか……?(ぉ